特定保健指導・特定健診の実施率の推移グラフと数値の読み方|61.5%・28.9%をどう見るか

最終更新:2026年11月4日 / Longevity Methods for 戦略的健康経営編集部

エビデンス:ヒト試験は限定的

小規模・短期のヒト試験はあるが、結論は未確立

今回の評価:実施率・階層化基準・判定値は、厚生労働省の一次情報(実施状況報告・実施の手引き)で確認できます。ただし、実施率は保険者からの報告にもとづく集計値であり、保険者の種類・被保険者/被扶養者の構成によって大きく変わるため、個々の企業・集団の健康度を直接表す数値ではない点に注意が必要です。

要点(現時点の研究状況)

  • 実施率の推移(グラフ):特定保健指導の実施率は、制度開始の2008年度の7.7%から2024年度の28.9%へ、特定健診は38.9%から61.5%へ上昇しています(厚生労働省「2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」2026年10月29日訂正後の公表・確認日 2026-11-04)。2008〜2024年度の年度別のグラフと表は本文冒頭の実施率の推移グラフ、対象者数・終了者数のグラフはその次の節にあります。以下の内訳も同じ2024年度の資料にもとづきます。
  • 特定健診(いわゆるメタボ健診)は、高齢者医療確保法にもとづき、40〜74歳を対象とする制度であり、2024年度の実施率は61.5%(対象約5,142万人・受診約3,161万人)です。特定保健指導の実施率は28.9%で、いずれも上昇傾向にありますが、国の目標(健診70%・保健指導45%)には達していません(厚生労働省・2024年度実施状況)。
  • 全体の61.5%という数字の内側には、大きな格差があります。健康保険組合の83.8%に対し、市町村国保は38.8%、被用者保険では、被保険者(本人)の79.6%に対し、被扶養者(家族)は40.3%です(2024年度)。「どの保険者の、誰の実施率か」を確認せずに数字のみを比較すると、誤った解釈につながります。
  • 保健指導の対象者の選定(階層化)は、腹囲(ふくい・男性85cm/女性90cm)またはBMI25以上を入口とし、血糖・脂質・血圧・喫煙歴のリスクの数によって、「動機づけ支援」「積極的支援」に振り分ける仕組みです。健診結果の「保健指導判定値」と「受診勧奨(じゅしんかんしょう)判定値」は別のものであり、判定値を超えたことは、病気であることを意味しません。
  • 企業の健康経営では、健診受診率や特定保健指導の実施率がKPIとなりますが、実施率の定義(分母・分子)と測定条件をそろえない他社比較には、意味がありません。自社の経年変化で確認することが、実務の基本です。

実施率の推移グラフ(2008〜2024年度・特定健診/特定保健指導)

厚生労働省の「2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況」には、制度開始の2008年度からの実施率の推移が掲載されています(表1・表6)。グラフにすると、特定健診は38.9%→61.5%(+22.6ポイント)、特定保健指導は7.7%→28.9%(+21.2ポイント)と上昇してきた一方、2020年度は特定健診が53.4%に低下したこと(前年度55.6%。資料に理由の記載なし)、特定保健指導は2018〜2020年度に23%前後で横ばいだったことが読み取れます。

特定健診と特定保健指導の実施率の推移(2008〜2024年度)0%15%30%45%60%75%20082012201620202024健診の目標 70%保健指導の目標 45%2008年度 特定健診 38.9%2009年度 特定健診 41.3%2010年度 特定健診 43.2%2011年度 特定健診 44.7%2012年度 特定健診 46.2%2013年度 特定健診 47.6%2014年度 特定健診 48.6%2015年度 特定健診 50.1%2016年度 特定健診 51.4%2017年度 特定健診 53.1%2018年度 特定健診 54.7%2019年度 特定健診 55.6%2020年度 特定健診 53.4%2021年度 特定健診 56.5%2022年度 特定健診 58.1%2023年度 特定健診 59.9%2024年度 特定健診 61.5%38.9%特定健診 61.5%2008年度 特定保健指導 7.7%2009年度 特定保健指導 12.3%2010年度 特定保健指導 13.1%2011年度 特定保健指導 15.0%2012年度 特定保健指導 16.4%2013年度 特定保健指導 17.7%2014年度 特定保健指導 17.8%2015年度 特定保健指導 17.5%2016年度 特定保健指導 18.8%2017年度 特定保健指導 19.5%2018年度 特定保健指導 23.2%2019年度 特定保健指導 23.2%2020年度 特定保健指導 23.0%2021年度 特定保健指導 24.6%2022年度 特定保健指導 26.5%2023年度 特定保健指導 27.6%2024年度 特定保健指導 28.9%7.7%特定保健指導 28.9%2020年度 53.4%
図1 特定健診・特定保健指導の実施率の推移(全体・2008〜2024年度)。破線は第4期の国の目標(特定健診70%以上・特定保健指導45%以上)。

年度別の実施率(表)

年度特定健診 実施率特定保健指導 実施率
2024年度
61.5%
28.9%
2023年度
59.9%
27.6%
2022年度
58.1%
26.5%
2021年度
56.5%
24.6%
2020年度
53.4%
23.0%
2019年度
55.6%
23.2%
2018年度
54.7%
23.2%
2017年度
53.1%
19.5%
2016年度
51.4%
18.8%
2015年度
50.1%
17.5%
2014年度
48.6%
17.8%
2013年度
47.6%
17.7%
2012年度
46.2%
16.4%
2011年度
44.7%
15.0%
2010年度
43.2%
13.1%
2009年度
41.3%
12.3%
2008年度
38.9%
7.7%

出典:厚生労働省「2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」(2026年10月29日訂正後の公表資料)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001764336.pdf 表1(特定健康診査の実施率)・表6(特定保健指導の対象者の割合及び実施率)。確認日 2026-11-04。グラフと表は同資料の公表値から当サイトが作成。2008〜2023年度の値は2023年度版の資料(2026-10-19確認)と一致しています。

国の目標(特定健診70%以上・特定保健指導45%以上)との差は、2024年度時点で健診8.5ポイント・保健指導16.1ポイント。上昇幅は年1〜2ポイント程度で推移しており、保険者・本人/家族の格差(後の節で解説)が解消されない限り、全体の平均が目標に達することは考えにくい構造です。

2024年度の公表について:厚生労働省は、数値の精査のため一時中止していた2024年度分を、2026年10月29日付の訂正とあわせて公表しました。訂正では、特定保健指導の終了者数が1,481,627人から1,516,041人に、実施率が28.3%から28.9%に改められています。本ページの内訳(保険者の種類別・本人/家族別・性別・年齢別)も、訂正後の2024年度の資料にもとづきます。

特定健診・特定保健指導とは(制度の位置づけ)

特定健診(特定健康診査)は、高齢者の医療の確保に関する法律にもとづき2008年度から始まった、40〜74歳の被保険者・被扶養者を対象とする健診制度です。実施主体は企業ではなく保険者(健康保険組合・協会けんぽ・市町村国保など)で、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目して生活習慣病のリスクを早期に把握し、リスクのある人に特定保健指導(専門職による生活習慣改善の支援)を行うという、2段階の仕組みです。

労働安全衛生法にもとづき事業者が実施する「定期健康診断」とは根拠法も実施主体も別ですが、検査項目が重なるため、実務では事業主健診の結果を保険者が受け取って特定健診に充てる運用が広く行われています。このデータの受け渡しの状況も、後述する実施率を左右します。

実施率61.5%・28.9%の中身(2024年度・一次データ)

厚生労働省が公表した2024年度の実施状況(2026年10月29日訂正後)によると、特定健診の実施率は61.5%(対象者約5,142万人・受診者約3,161万人・前年度比+1.6ポイント)、特定保健指導の実施率は28.9%(対象者約524万人・終了者約152万人・前年度比+1.3ポイント)でした。制度開始の2008年度(健診38.9%・保健指導7.7%)から一貫して上昇してきた一方、国が掲げる目標(第4期:健診70%以上・保健指導45%以上)には、まだ達していません。

区分2024年度2023年度国の目標(第4期)
特定健診 実施率61.5%59.9%70%以上
特定保健指導 実施率28.9%27.6%45%以上

ここで重要なのは、この「実施率」が保険者から国への報告を集計した値だということです。分母は年度当初の加入者のうち40〜74歳(妊産婦等を除く)、分子は「基本的な健診項目をすべて実施した人」。このように、受診したかどうかを示す数字であり、健診結果が良いかどうかを示す数字ではありません。

61.5%の内側にある格差(保険者・本人/家族・性別)

全体の61.5%を一律の数字として扱うと、誤った解釈につながります。同じ2024年度のデータの内訳は、次のとおりです(表2・表3・表5)。

  • 保険者の種類:健康保険組合(全体)83.8%・共済組合83.3%・協会けんぽ60.6%に対し、市町村国保は38.8%。
  • 本人と家族:被用者保険全体で被保険者(本人)79.6%に対し被扶養者(家族)40.3%。会社で受診する本人と、自ら受診する家族の差が大きくなっています。
  • 性別:男性65.9%・女性57.0%。被用者保険では女性(被扶養者を含む)の実施率が低い。

このように、実施率の高さは、大企業の健保加入者(本人)が多い集団ほど、構造的に出やすい数字です。企業が健康経営において「当社の健診受診率はほぼ100%」と示す場合、それは労働安全衛生法の定期健診(受診義務あり)の話であることが多く、国全体の61.5%と並べて論じることのできる数字ではありません。分母・対象・根拠法をそろえてから比較することは、当サイトがプレゼンティーイズムの尺度やROIの記事で解説してきた数字の読み方と同様に、ここでも必要です。

特定保健指導の対象者数・終了者数の推移(グラフ)

特定保健指導の実施率は「終了者数 ÷ 対象者数」です。2024年度は対象者約524万人(特定健診受診者の16.6%)のうち、保健指導を終了した人は約152万人でした(2023年度は対象者約519万人・終了者約143万人)。2008年度(対象者約401万人・終了者約31万人)と比べると、終了者は約4.9倍に増えた一方、対象者も増えているため、実施率の伸びは終了者数の伸びほど大きくありません。

特定保健指導の対象者数と終了者数の推移(2008〜2024年度・万人)0万150万300万450万600万2008年度 対象者 約401万人2008年度 終了者 約31万人(実施率7.7%)20082009年度 対象者 約409万人2009年度 終了者 約50万人(実施率12.3%)2010年度 対象者 約413万人2010年度 終了者 約54万人(実施率13.1%)2011年度 対象者 約427万人2011年度 終了者 約64万人(実施率15.0%)2012年度 対象者 約432万人2012年度 終了者 約71万人(実施率16.4%)20122013年度 対象者 約430万人2013年度 終了者 約76万人(実施率17.7%)2014年度 対象者 約440万人2014年度 終了者 約78万人(実施率17.8%)2015年度 対象者 約453万人2015年度 終了者 約79万人(実施率17.5%)2016年度 対象者 約469万人2016年度 終了者 約88万人(実施率18.8%)20162017年度 対象者 約492万人2017年度 終了者 約96万人(実施率19.5%)2018年度 対象者 約509万人2018年度 終了者 約118万人(実施率23.2%)2019年度 対象者 約520万人2019年度 終了者 約121万人(実施率23.2%)2020年度 対象者 約523万人2020年度 終了者 約120万人(実施率23.0%)20202021年度 対象者 約526万人2021年度 終了者 約129万人(実施率24.6%)2022年度 対象者 約512万人2022年度 終了者 約135万人(実施率26.5%)2023年度 対象者 約519万人2023年度 終了者 約143万人(実施率27.6%)2024年度 対象者 約524万人2024年度 終了者 約152万人(実施率28.9%)2024対象者 約524万人終了者 約152万人対象者数終了者数(濃い部分)
図2 特定保健指導の対象者数(薄い棒)と終了者数(濃い棒)の推移(2008〜2024年度・万人)。濃い棒の高さが薄い棒に占める割合が実施率。
数値の表を開く(対象者数・対象者割合・終了者数・実施率、2008〜2024年度)
年度対象者数(人)対象者割合終了者数(人)実施率
2024年度5,243,16116.6%1,516,04128.9%
2023年度5,190,91416.6%1,434,05127.6%
2022年度5,118,15217.0%1,353,89326.5%
2021年度5,262,26517.3%1,294,28924.6%
2020年度5,225,66818.1%1,200,74023.0%
2019年度5,200,51917.4%1,205,96123.2%
2018年度5,094,25517.3%1,183,78623.2%
2017年度4,918,13617.2%959,12919.5%
2016年度4,690,79317.0%881,18318.8%
2015年度4,530,15816.7%792,65517.5%
2014年度4,403,85016.8%783,11817.8%
2013年度4,295,81616.9%759,98217.7%
2012年度4,317,83417.7%707,55816.4%
2011年度4,271,23518.2%642,81915.0%
2010年度4,125,69018.3%540,94213.1%
2009年度4,086,95218.9%503,71212.3%
2008年度4,010,71719.9%308,2227.7%

出典:厚生労働省「2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」(2026年10月29日訂正後の公表資料)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001764336.pdf 表6(特定保健指導の対象者の割合及び特定保健指導実施率)。確認日 2026-11-04。グラフは同資料の公表値から当サイトが作成。

対象者割合は2008年度の19.9%から2023年度・2024年度は16.6%に下がっています。同じ資料の「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率(対2008年度比)」は2024年度で17.2%(2023年度と同じ。2022年度16.1%)です。この減少率は、実施率や年齢構成の変化の影響を除くため、性・年齢階級別の出現割合を2008年3月末の人口に当てはめた推定値で算出されており、対象者割合の単純な比較とは別の指標です(表10)。

保険者の種類別・年齢別の特定保健指導の実施率(2024年度)

特定保健指導の実施率も、特定健診と同じく保険者によって大きく異なります。2024年度は健康保険組合(単一)が47.3%で最も高く、市町村国保(小)が45.4%で続き、国の目標45%に達しています。一方、協会けんぽは20.5%、市町村国保(大)は15.0%、国保組合は13.6%にとどまります。

保険者の種類2024年度 実施率2018年度
健康保険組合(単一)
47.3%
32.3%
市町村国保(小)
45.4%
45.1%
共済組合
37.1%
30.8%
健康保険組合(全体)
36.8%
25.9%
市町村国保(全体)
30.2%
28.8%
市町村国保(中)
29.5%
29.1%
全国健康保険協会(協会けんぽ)
20.5%
16.8%
健康保険組合(総合)
20.3%
14.8%
市町村国保(大)
15.0%
15.1%
船員保険
14.2%
8.4%
国保組合
13.6%
10.1%

出典:厚生労働省「2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」(2026年10月29日訂正後)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001764336.pdf 表8(特定保健指導の実施率(保険者の種類別))・表7(性・年齢階級別)。確認日 2026-11-04。棒の長さは実施率に比例。

2018年度と比べると、健康保険組合(単一)は32.3%→47.3%と大きく伸びた一方、市町村国保(小)は45%前後で横ばいです。年齢階級別では、2024年度の全体で60〜64歳が26.7%と最も低く、70〜74歳が30.8%と最も高くなっています(表7)。2023年度に最も低かった40〜44歳は25.0%から28.8%に上がり、年代による差は2023年度(25.0〜30.8%)より小さくなりました。企業の健康経営で特定保健指導の完了率をKPIにする際は、自社の年齢構成とあわせて確認することが前提になります。

階層化の仕組み:腹囲85cm/90cmとリスクの数

特定保健指導の対象者は、健診結果から次の手順で選ばれます(階層化)。入口になる「腹囲」はふくいと読み、腹部の周囲長(ウエスト周囲径)のことです。

  1. 入口:腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上、または腹囲が基準未満でもBMI25以上。
  2. 追加リスクを数える:①血糖(空腹時血糖100mg/dL以上またはHbA1c5.6%以上)②脂質(中性脂肪150mg/dL以上またはHDL40mg/dL未満)③血圧(収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上)に、④喫煙歴を加味。
  3. 振り分け:リスクの数と年齢に応じて「積極的支援」(原則3か月以上の継続支援)と「動機づけ支援」(原則1回の面接支援)に分かれます。65〜74歳は積極的支援の条件を満たしても動機づけ支援になります。すでに糖尿病等で服薬中の人は対象外(医療で管理するため)。

なお、この腹囲基準(特に男性85cm)は国際的な基準と異なることが以前から議論されています。基準は制度上の取り決めであり、85cmを1cm下回れば安全という意味ではありません。

「保健指導判定値」と「受診勧奨判定値」を混同しない

特定健診の検査値には2種類の基準があります(「受診勧奨」はじゅしんかんしょうと読み、医療機関の受診を勧めるという意味です)。保健指導判定値(例:血圧130/85、空腹時血糖100、中性脂肪150)は「生活習慣の改善支援を始める目安」であり、受診勧奨判定値(例:血圧140/90、空腹時血糖126)は「医療機関の受診を勧める目安」です。

実務で多い誤解は、保健指導判定値を「異常=病気」と受け取ってしまうことです。たとえば血圧132/86は保健指導判定値超えですが、これは高血圧の診断ではなく、生活習慣を見直す入口のシグナルです。逆に、受診勧奨判定値を超えているにもかかわらず、放置することは避けてください。健診はスクリーニングであり、診断・治療の判断は医療機関で行うという区別は、ストレスチェック(高ストレスの判定≠診断)とまったく同じ構造です。

また健診値そのものも、測定条件で動きます。空腹時か食後か(血糖・中性脂肪)、測定時の緊張(血圧の白衣効果)、直前の生活。1回の値で判断せず、条件をそろえた経年変化で確認することが基本です。

健康経営における数値の活用(実務上の要点)

健康経営度調査や健康経営優良法人の評価項目には、健診受診率や特定保健指導の実施率・対象者割合が含まれます。活用する際の実務上のポイントは、3つあります。

  • ①定義をそろえる:「受診率」が定期健診(安衛法)か特定健診(高確法)か、分母は全従業員か40歳以上か、被扶養者を含むかを確認する。定義の違う数字の社間比較は、プレゼンティーイズムの尺度比較と同様に成立しません。
  • ②実施率より後工程を重視する:受診率がほぼ100%の企業で、次に改善効果が大きいのは、特定保健指導の実施完了率と、受診勧奨判定値超えの人の医療機関受診(精検受診)率です。全国の保健指導の実施率は28.9%(2024年度)であり、この点が最大の課題です。
  • ③経年で確認する:同じ集団・同じ定義で年次の推移を追う。メタボ該当者・予備群の減少率のような国の集計値(対2008年度比)も、母集団と定義に依存する参考値として扱います。

健診・保健指導のデータは、正しく読めば、健康経営において数少ない「定義が公的に固定された」指標です。そのため、定義の範囲を超えて解釈せず、限界も含めて理解したうえで活用することが、最も説得力のある使い方です。

出典・参考にした研究

※本記事は効果効能を保証・断定するものではなく、公表されている研究・一次情報を中立に整理したものです。サプリメントは医薬品ではありません。体調・治療の判断は医師等の専門家にご相談ください。

よくある質問

特定保健指導・特定健診の実施率はどう推移していますか?

厚生労働省の集計では、特定健診の実施率は2008年度の38.9%から2024年度の61.5%へ、特定保健指導は7.7%から28.9%へ上昇しています。ただし、2020年度は特定健診が53.4%(前年度55.6%)に低下し、特定保健指導は2018〜2020年度に23%前後で横ばいでした。国の目標(70%以上・45%以上)には、いずれも達していません(厚生労働省「2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」表1・表6、2026年10月29日訂正後の公表・2026年11月4日確認)。

特定保健指導の対象者数と終了者数はどのくらいですか?

2024年度は対象者5,243,161人(特定健診受診者の16.6%)、終了者1,516,041人で、実施率は28.9%です。2008年度は対象者4,010,717人・終了者308,222人(7.7%)でした。保険者の種類別では健康保険組合(単一)47.3%が最も高く、国保組合13.6%が最も低くなっています(厚生労働省「2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」表6・表8、2026年10月29日訂正後の公表・2026年11月4日確認)。

「受診勧奨」「腹囲」は何と読みますか?

「受診勧奨」は「じゅしんかんしょう」と読み、検査値が受診勧奨判定値を超えたときに医療機関の受診を勧めることを指します。「腹囲」は「ふくい」と読み、腹部の周囲長(ウエスト周囲径)のことで、男性85cm・女性90cm以上が特定保健指導の階層化の入口基準です。

特定健診と会社の定期健康診断は何が違いますか?

根拠法と実施主体が異なります。定期健康診断は、労働安全衛生法にもとづき、事業者(会社)が全従業員に実施するものです。特定健診は、高齢者医療確保法にもとづき、保険者(健保組合等)が40〜74歳の加入者に実施するものです。検査項目が重なるため、実務では、事業主健診の結果を保険者が特定健診として受け取る運用が一般的です。

特定健診の実施率61.5%は高いのですか?

上昇傾向にはありますが、国の目標(70%以上)には達していません。また、内訳の格差が大きく、健保組合の83.8%に対し市町村国保は38.8%、被用者保険の本人の79.6%に対し家族(被扶養者)は40.3%です(2024年度・厚生労働省)。全体の数字よりも、「自社の集団のどこが低いか」を確認するほうが実務的です。

腹囲85cmを超えると病気ということですか?

病気であることを意味しません。腹囲(男性85cm/女性90cm)は、特定保健指導の対象者を選ぶための階層化の入口の基準であり、診断基準ではありません。血糖・脂質・血圧・喫煙歴のリスクの数とあわせて、「動機づけ支援」「積極的支援」への振り分けに用いられます。基準を超えた場合は生活習慣を見直す目安、受診勧奨判定値を超えた検査値がある場合は医療機関の受診の目安として使い分けます。

特定保健指導の実施率28.9%はなぜ低いのですか?

対象者(約524万人)のうち、保健指導を最後まで終了した人が約152万人にとどまるためです(2024年度)。案内しても利用につながらない、就業時間内に受けにくい、複数回の継続支援(積極的支援)を完了しにくいといった、実務上の課題が知られています。健康経営の観点では、健診受診率よりも、この後工程の完了率が、改善の余地の大きいKPIです。

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長寿遺伝子サーチュインとレスベラトロール|研究で示された期待と3つの課題

★☆☆

NMNとNR(ニコチンアミドリボシド)のサプリの違い|ヒト試験と日本での食品区分

★☆☆

腸内フローラと健康・老化の研究の現状|腸内細菌検査でわかること・わからないこと

★☆☆

メトホルミンに老化防止効果はある?|ヒト研究・TAME試験の現状と日本での扱い

★☆☆

スペルミジンとオートファジー|動物実験とヒト研究の差

★★★

人間ドックの価値と限界|エビデンスで読み解く網羅的健診

★★★

健康診断は受けた後の活用が重要|数値の管理による健康長寿の基礎知識

★★☆

健康経営とは|投資対効果と国の3つの認定制度を経営者の視点で解説

★★★

経営者・エグゼクティブの健康投資|代替が難しい経営資源を守るための優先順位

★★☆

福利厚生としてのロンジェビティ|従業員の健康施策をエビデンスにもとづいて選び導入する方法

★★☆

海外企業の従業員の健康への投資|先進事例と「1ドル→3ドル」という試算の検証

★★☆

【業界別】海外企業の健康投資の効果|製薬・消費財・金融・保険・製造の事例とエビデンス

★★☆

【業界別】日本企業の健康経営の事例と数字の読み方|花王・SOMPO・KDDI・ロート製薬ほか

★★☆

プレゼンティーイズムとアブセンティーイズムの違い|「休んでいる」か「出勤して不調」か(経産省の定義・損失割合・測定方法)

★★★

健康経営優良法人2027の取り方|申請スケジュール・認定要件・準備ロードマップ

★★★

健康経営銘柄とは|ホワイト500との違いと企業一覧(2026年:ホワイト500は501法人・銘柄44社)

★★☆

プレゼンティーイズムの測定方法・計算方法の比較|WHO-HPQ・SPQ・WLQ-J・W-Funの違いと各社の数値を比較できない理由

★★☆

健康経営の投資対効果(ROI)の実際|「1ドルで3ドル」の原典とRCTの結論

★★☆

ストレスチェック集団分析の数値の読み方と限界|「健康リスク」「高ストレス者率」をどう見るか

★★☆

健康寿命とは|平均寿命との差「男性8.49年・女性11.63年」の意味と数字の読み方

★★☆

HRQOL(健康関連QOL)とは|QOLとの違いと、SF-36とEQ-5Dの違いを比較表で解説

★★☆

健康寿命を延ばす方法の根拠の整理|運動・食事・社会参加・サプリのエビデンス

★★☆

ウェルビーイング経営とは|指標の測り方と「数字の読み方」の限界